ひとそれぞれな美術鑑賞

美術館巡りが好き。
音声ガイドは借りない派で、
自分のペースで
好きな作品の前では長めに、
あまり興味ないものは歩きながら。

いつもナンバーワンを選んで帰る。
好き は大抵たくさんあるから
貰えるならどれか、を基準に。

昨日、
人生で初めて
美術館でヨダレを垂らしそうになった。
欠伸をいくつも噛み殺して
口の中に唾液が多かったこともあろうが
「これだ」と思った瞬間、溢れそうになったのだ。

奥村土牛 『紅白梅』

現物を見たのは初めてだが
もともと好きだった作品だ。
たっぷりとした金地の余白に
楚々としながらも存在感のある紅白梅。

それが色紙だったなんて。

ズルい。

家で飾れる場所が
いくつも思い付くじゃないか。
玄関。 お床。 
客間にもダイニングにも合う。

ズルい。
このサイズはズルい。

なんてことを思いながら
あわてて口元に手をやった。


この作品のためにこんな部屋にしたい
なんて考えるのも楽しいけれど
リアリティは想像力を凌駕する と認識できた
面白い体験だった。


開館50周年記念特別展
奥村土牛   ー画業ひとすじ100年のあゆみ」